職人
こんにちは、カンナです。永六輔さんの、『職人』(1996年.岩波書店)という本の中に、凄くしっくりと、うんうんと、共感する文章がありました。「(五万円の醤油さしについての文脈)・・・
「この醤油さしを十年、大切に使おう。
五万円という値段は、十年使うと年当たり五千円。三度三度の食事に出てくるわけだから、一日当たりにすると、だいたい五円弱。だから、さらに十年使うと、二円とか一円になっちゃう。
しかも、みんながいいなと思ってくれると嬉しいし、粗末な食事でもその醤油さしがあると食卓が豪華に見える。それを考えたら、安いと思います。」
・・・中略・・・
買った物といっしょに暮らしていけば、どれだけそえに慰められるか。ああキレイだな、とうっとりしたり、他人が褒めてくれたりすれば嬉しい。
・・・中略・・・
大好きな絵があって、高いけれど無理して買った、とするでしょう。それも同じだと思うんです。毎日その絵を見て、そのたびに豊かな気持ちになれるんだったら、大した額じゃなくなっちゃうんです。
そしてね、台所用品のように、自分で使いこなしていくもの、職人が丹精込めてつくったものということになれば、まちがいなく、使えば使うほど、よくなるんです。」 (引用終わり。)
家具も、まさしくその通り。毎日の暮らしで使い込む味わいのある、生活の道具です。
私たちの家具を届けさせていただいたクライアントから、「毎日うっとり眺めて、幸せな気持ちになってます。」とか、「ごはんが、もっと美味しく感じるよ!」とか、「ひとを家に呼びたくなっちゃうね。」なんて、嬉しいお言葉を聞くと、堪らないものがあります。
家具は、そのものが実用的であることはもちろん、本の中にあるように、それが存在することで、「こんなにも豊かな気持ちになれる」、それって凄く大事なことなだあ、とじーんと感じ入りました。